ハンバーガーショップといえば、ファストフードの典型でもあり、特に職場環境が素晴らしいとのイメージがある業界でもありません。 しかし、アメリカで1948年に誕生し、現在280店舗を展開しているハンバーガーチェーンの「in-N-Out Burger (イネナウトバーガー)」は、職場環境が素晴らしく、また行列が出来るほどに人気があることでも有名な企業です。
そんな、in-N-Out Burger の取り組みについては、日本でも社員の採用や離職率の高さに苦戦している企業においても、参考にできる部分が多々ありますので、紹介してみたいと思います。
◆ in-N-Out Burgerが、愛されるファストフード店である6つの理由
1) 品質の徹底した管理…冷凍食材を一切使わない
2) 顧客重視…顧客の多様な要望に応える
3) 社員の職場満足度を高める…ハード面とソフト面の両立
4) シンプルな一貫性…いつまでも変わらぬメニュー
5) 急拡大をしない…フランチャイズではなく、すべてが直営店で非上場
6) 自社の定めたルールから外れない…しっかりとした核を持つ
イネナウトバーガーの特徴としては、表向きのメニューはハンバーガー、チーズバーガーと、Double-Doubleと呼ばれるチーズとパテが2枚づつ入ったチーズバーガーの3種類とポテトにドリンクだけです。 しかし、シークレットメニューと呼ばれる裏メニューが多数存在しています。
例えば、プロテインスタイルといわれるものは、タンパク質を重要視するバーガーですので、炭水化物であるバンズがありません、代わりにレタスでパテを包んでいます(日本でもモスバーガーが菜摘の名で販売してましたが、どちらが先かは分かりません)。 他にはベジバーガー、これは逆にパテがありません、バンズの間には野菜のみが挟まっています(はたしてハンバーガーと呼べるのか)。
これら商品については、冷凍食材を一切使わない、ポテトに使うジャガイモは毎日各店舗で皮むきからする、注文を受けてから作り始めるので、保温するためのヒートランプなどの設備はないなど、品質を高めるための取り組みも徹底しています。
◆ 会社の魅力が好循環を育てる
そんな特徴を持ったイネナウトバーガーですが、人事という観点から見ると、社員の職場満足度を高めるために、しっかりとした賃金と福利厚生に取り組むことはもとより、社員同志の意思疎通をしっかりと図るためのミーティング(上から下への一方的な業務連絡ではない)、社員にギフトを贈ったり、クリスマスパーティーを開催するなど細やかな気配りをしていることもあり、離職率はかなり低いようです。
また、会社としても急拡大を求めていませんので、店舗は全てが直営店です。 このことも社員教育や育成について慌てる必要がなくプラスに働いてます。 また有能なマネージャーが勤務できない地区は出店をしないなどの自社ルールを徹底することで、会社に対する満足感を高める一因にもなっています。
このような魅力を持つ会社であれば、退職者が出ても、人気がある職場ですのですぐに新しい社員を採用することができますし、また多くの求職者から、より自社にマッチングする人を採用することも可能になりますので、結果的には離職率や求人経費も下がり、好循環な人事体制をつくることが可能になります。
イネナウトバーガーの取り組みをそのまま真似しても仕方がありませんが、社員の採用や離職に苦戦している企業にとっては、社員採用や離職をテクニカルな手法で改善するだけでなく、魅力ある企業になることで組織を構築することも可能であるという意味で参考になればと思います。