カテゴリー別アーカイブ: 人事の時事

人事技術のヒント+α 再開のご挨拶

2014年の3月から3ヶ月間、記事数にすると30にも満たないブログでしたが、多くの閲覧者の皆様、また130を超えるご質問を頂きましたことを御礼申し上げます。

ご質問を頂いた方にお答えが出来ていない、回答が非常に遅くなってしまったなど、多くのご迷惑をお掛けしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

最終の記事更新から1年半超になりますが、今でも毎月数件のご質問をいただいており、いかに多くの方が仕事に関する様々なことについて苦悩してあるのか、多くの企業人事の最前線で対応している自分自身にとっても、襟を正さねばならないとの思いを強くする機会になりました。

2014年に最後の記事を書いていた5月の完全失業率が3.5%、2015年末は3.3%

数字にすればたかが0.2%の違いでしかないのですが、この0.2%という数字に現れる以上に労働環境は大きな変化を迎えており、またこれからも引き続き2021年頃までは、大きな変化を起こすものと予想してます。

なぜ大きく変化をしていくのかについての詳細は、今後のブログの中で、さまざまなデータを元に記事にしていきたいと考えています。

ご質問についてもブログ再開後は、以前よりもタイムリーにお返事が出来るような、僕の仕事における環境も作りましたので、仕事や就職活動、転職など引き続きお悩みを抱えた皆様からのご質問を受け付けてますので、ぜひご相談下さい。

2月1日月曜日から、毎週月曜日のお昼12時に更新します。

仕事、就職活動、転職、人事組織の構築、社員の定着、社員の成長等々、人と仕事に関する現場の情報から俯瞰した視点まで、再開するブログが皆様の参考になれば幸いです。

職場環境の満足度が高いハンバーガーショップの秘密

ハンバーガーショップといえば、ファストフードの典型でもあり、特に職場環境が素晴らしいとのイメージがある業界でもありません。 しかし、アメリカで1948年に誕生し、現在280店舗を展開しているハンバーガーチェーンの「in-N-Out Burger (イネナウトバーガー)」は、職場環境が素晴らしく、また行列が出来るほどに人気があることでも有名な企業です。

そんな、in-N-Out Burger の取り組みについては、日本でも社員の採用や離職率の高さに苦戦している企業においても、参考にできる部分が多々ありますので、紹介してみたいと思います。

 

in-n-out-burger-logo

 

◆ in-N-Out Burgerが、愛されるファストフード店である6つの理由

1) 品質の徹底した管理…冷凍食材を一切使わない
2) 顧客重視…顧客の多様な要望に応える
3) 社員の職場満足度を高める…ハード面とソフト面の両立
4) シンプルな一貫性…いつまでも変わらぬメニュー
5) 急拡大をしない…フランチャイズではなく、すべてが直営店で非上場
6) 自社の定めたルールから外れない…しっかりとした核を持つ

イネナウトバーガーの特徴としては、表向きのメニューはハンバーガー、チーズバーガーと、Double-Doubleと呼ばれるチーズとパテが2枚づつ入ったチーズバーガーの3種類とポテトにドリンクだけです。 しかし、シークレットメニューと呼ばれる裏メニューが多数存在しています。

例えば、プロテインスタイルといわれるものは、タンパク質を重要視するバーガーですので、炭水化物であるバンズがありません、代わりにレタスでパテを包んでいます(日本でもモスバーガーが菜摘の名で販売してましたが、どちらが先かは分かりません)。 他にはベジバーガー、これは逆にパテがありません、バンズの間には野菜のみが挟まっています(はたしてハンバーガーと呼べるのか)。

これら商品については、冷凍食材を一切使わない、ポテトに使うジャガイモは毎日各店舗で皮むきからする、注文を受けてから作り始めるので、保温するためのヒートランプなどの設備はないなど、品質を高めるための取り組みも徹底しています。

 

◆ 会社の魅力が好循環を育てる

そんな特徴を持ったイネナウトバーガーですが、人事という観点から見ると、社員の職場満足度を高めるために、しっかりとした賃金と福利厚生に取り組むことはもとより、社員同志の意思疎通をしっかりと図るためのミーティング(上から下への一方的な業務連絡ではない)、社員にギフトを贈ったり、クリスマスパーティーを開催するなど細やかな気配りをしていることもあり、離職率はかなり低いようです。

また、会社としても急拡大を求めていませんので、店舗は全てが直営店です。  このことも社員教育や育成について慌てる必要がなくプラスに働いてます。 また有能なマネージャーが勤務できない地区は出店をしないなどの自社ルールを徹底することで、会社に対する満足感を高める一因にもなっています。

このような魅力を持つ会社であれば、退職者が出ても、人気がある職場ですのですぐに新しい社員を採用することができますし、また多くの求職者から、より自社にマッチングする人を採用することも可能になりますので、結果的には離職率や求人経費も下がり、好循環な人事体制をつくることが可能になります。

イネナウトバーガーの取り組みをそのまま真似しても仕方がありませんが、社員の採用や離職に苦戦している企業にとっては、社員採用や離職をテクニカルな手法で改善するだけでなく、魅力ある企業になることで組織を構築することも可能であるという意味で参考になればと思います。

ブラック企業のレッテルを貼られることの危険性を理解しておく

ここ数日の報道のなかに、居酒屋大手のワタミの新卒採用が、目標の半分程度にとどまったとのニュースがありました。 ワタミといえば、長時間労働などの問題が指摘されており、そのことが新卒採用の上で苦戦した一因になった可能性があるという趣旨の報道でした。

社員採用を強化するとのワタミの発表ではありますが、この報道を見た来春の新卒者も、ワタミに対するエントリーには二の足を踏む可能性もあります、また就活生の親や周りの人も、これだけネガティブな報道に接すれば、いい顔をしないかもしれません。 一度ブラック企業のレッテルを貼られてしまった企業が、いかに社員採用に苦戦することになるのか、まるでお手本のような例です。

 

b82cafed0f69358b9debde92f5b1f761_m

 

確かに不景気な時期には、やる気と体力があれば、資格等がなくても就職できる可能性が高いワタミなどの外食産業は、ある意味、駆け込み寺としての役割がありました。 しかし、デフレ環境下でコモディティ化させた社員から利益を生み出すことで、利益を生み出すビジネスモデルは、経済環境が上向きに転じると、いきなり社員採用に苦戦するビジネスモデルになるのです。

ちなみに、外食業界はワタミに限らず、大手の牛丼チェーンについても社員採用に苦戦するあまりに、店舗が一時休業しているとの話題も巷に流れています。

これだけ情報の伝達速度が早く、ほぼ永遠にデータとして残り続ける世界では、一度ブラック企業であるとレッテルを貼られることは、経済環境の好不況に関わらず年々、社員を採用するためのハードルが高くなっていくことを、企業としては理解しておくべきです。

ただ、いまブラック企業とレッテルを貼られている会社で、頑張っている社員の方の立場からすると、会社として今後の社員採用に繋げるために労働環境を改善することが、充分に期待できる状況ではありますので、そこは嬉しい点かもしれません。 そう考えるとブラック企業のレッテル貼りにも、何らかの意味があるのかもしれないですね。