月別アーカイブ: 2014年3月

ブラックな就業環境を入社前に見抜くコツ

ブラック企業だと言われる、いわゆる労働基準法の規定や社会通念から大きくかけはなれた就業条件、環境を入社する前に気づくことはなかなか難しいのですが、少しの努力で気づくことができますので、参考にしてみてください。

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「長時間勤務、休日出勤が常態化している企業の特徴」

サービス業、接客業には当てはまらない場合もありますが、一般的なB to Bや、B to Cの企業について時間外労働や休日出勤が、求人募集や会社説明の内容と違う場合について見抜くことが出来るコツです。

就業時間外に、企業に電話をかけてみる。
例えば、会社説明の際には9時から18時までの勤務時間で、残業は多くても2時間程度です。との説明を受けていたとします。 そのような場合に、21時や22時に企業に電話をかけてみて当たり前のように電話に社員の方が出られる場合などは、説明と現実が違う可能性も高いでしょう。
但し、代表電話については就業時間外は留守電に切り替えたり、部署によって時間外勤務の時間に大きな違いがある場合もありますので、その点は注意が必要です。

就業時間外に、企業を見に行ってみる。
電話をかけてみることと同じような方法ではありますが、電話の場合には、留守電などで繋がらない場合もあります。しかし電気を点けずに仕事をすることは不可能です。オフィスビルなどであれば、通りから見えない場合もありますが、路面に面している様な企業であれば、外から中の雰囲気が掴める場合もありますので、気になる際には必ず見に行くことをオススメします。これは休日についても言えることです。

「現実の賃金が、会社説明と違う企業に多い特徴」

会社説明の際に聞いていた賃金と、現実に振り込まれた賃金に違いがある……。このことを入社前に気づくことは、正直かなり難しいのが現実です。これは違いが判明するのが、給与を振り込まれた時になるというのが一番の原因です。それを避けるためには、とにかく情報を収集することが大事になってきます。

社会通念とは、著しく違う企業風土をアピールしている。
例えば、入社から半年で月給100万円!1年後には部長で年収1000万!などのアピールをしている求人募集を時々目にします。特に営業関係の求人募集に多いこのキャッチフレーズですが、この手の募集は、低い基本給に高い業績給やインセンティブ制をとっている場合が多く、安易に信じて入社すると、成績次第では月給10万円に満たないような場合もありますので、注意が必要です。

ホームページ、ハローワーク、求人雑誌などの募集情報で微妙な違いがある
これは、賃金の違いだけに言えることではなく、他のさまざまな就業条件にも当てはまることですが、ホームページやハローワークの募集、そして求人雑誌などに、ひと通り目を通していくと微妙な違いを発見することがあります。例えば、ハローワークの募集には、基本給15万円+インセンティブが最大30万円と記載してあり、求人雑誌を見ると月給100万円可能など、一貫性のない求人募集をしているような企業は、賃金は人を集めるキャッチコピーくらいの意識ですので、現実と違う場合が多いです。

「社員の定着がよくない企業の特徴」

今までに書いた、時間外勤務や休日出勤、賃金の違いなどが当てはまる企業は、概ね離職率が高いのは当然のことです。それ以外に判断できる材料もありますので、参考にしてみてください。

近隣から通勤している社員が少ない。
地方の企業に多いのですが、企業の所在地近くで居所を構えて勤務している社員の割合が、著しく低い企業を目にすることがあります。そのような企業は地元の評判が長い間に低下してきて、近隣からは誰も就業しない、そんな場合があります。会社説明の際に、遠方から就業されている方も多いなどの発言があれば、近隣には募集をかけても採用ができないことの裏返しの場合もありますので、覚えておいて損はないでしょう。

常に求人が出ている、また採用人数も多い。
求人募集を見ると常に採用活動を行っている企業、また採用人数が極端に多い企業、このような会社は、それだけ離職率も高いので常に募集をし続ける必要があるということです。前回の記事で書いた某牛丼チェーンなどはその典型的な例かもしれません。

「求職者は理解しておかなければならない」

求職活動がうまくいかず、不採用の数が増えてくると、徐々に心が削られ、不安から早く仕事を決めたいとの思いが強まり、最初に自分が考えていた就業条件より悪くても、とりあえず就職できるのであれば……と、厳しい就業環境の企業に飛び込んでいく多くの方を目にしてきました。
しかし、ブラック企業が狙っているのは、求職者が持つ不安で正常な判断が鈍っており、企業の思うままに使ってやろうと考えていることを理解しておくべきです。

この企業、ブラックな気がするということを理解し、心の準備と対策をして入社するのか。それとも全く知らないままに入社して苦しむのか、同じようなことに思えますが、実際は大きな違いがあることを理解しておいてほしいと思います。

ブラック企業になる業種・業態を見抜く一つのヒント 

ここ数日、ネットを中心に話題になっている牛丼業界のブラックな労働環境についての話題です。

某牛丼チェーンが社員の確保が出来ないために、勤務シフトを組むことができずに休業店舗が相次いでいるとの情報をもとに、口さがないネットの世界では、ブラック企業であると騒いでいるようですが、果たしてブラック企業というのは、どういった環境から生まれてくるものなのか、その見分け方のひとつのヒントを書いてみたいと思います。

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社員採用の苦戦が悪循環のスパイラルを引き起こす

今回の事の発端となっている店舗休業ラッシュについて、企業の広報からは事実ではないと発表されてるようです(事実であったとしても、認めることはないでしょうが……)

ことの真偽については不明ですが、何らかの理由で休業店舗が多くなっているのは、ある意味では事実だと思われます。また社員採用に苦戦しているのことについては紛れも無い事実なのでしょう。

慢性的な社員採用の苦戦が、店舗の人員不足を招きますが、社員に負荷をかけることで、日々の業務については、なんとか遂行することも可能です。 しかし、誰もが発信者になる現代では、そのような厳しい労働環境に関する情報は瞬時に巷に流れ、より一層、社員採用に苦戦すると共に、限界を超えた社員の退職による更なる就業環境の悪化という悪循環のスパイラルです。

コモディティ化は危険な香り

この様に、なぜ企業は社員採用ができない事態に陥り、望むにしろ、望まざるにしろブラック化していくことになるのか、私の考えるひとつの原因です。
それは、コモディティ化がすすんでいる業界や企業の就業環境は、ブラック化しやすいということです。

コモディティ化というのは、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとって、どこのメーカーの品を購入しても大差ない状態のことです。

例えば、今回の牛丼業界を例に考えてみると、牛丼市場に流通している商品である牛丼について、他社にはない付加価値を加え差別化を図るということが安易ならざるために、各社は市場原理の常として、より安い商品を投入するという価格競争を取らざるを得ません。結果としては価格競争が激化し、10円、20円の値引きをお互いに繰り返し、収益を悪化させていく流れになります。

またこの状況は、同時に社員のコモディティ化も招きます。
店舗における接客・サービスについて、他社にはない差別化を図り、付加価値を加えることが、簡単ではない以上、市場原理の常として、より人件費をかけずに店舗を運営することで、収益をあげようとします。

これらの、コモディティ化の流れは、お互いの体力を削り合うことで、誰も幸せにならないチキンレースを続けているようなものです。

社員から利益を生み出す

そして、収益が悪化してくると、商品やサービスの対価として利益を生み出すという本来のビジネスの取り組みから、手早く社員を材料に利益を生み出すことに企業は力を向けてしまいます。

すなわち、本業を原因とする収益悪化を回復させるためには、市場やお客様に対して働きかける必要がありますが、これは必ずしも会社の思惑通りの結果を導くとは限りません。 新商品が会社の思惑通りに売れてくれれば、こんなに楽なことはないですが、現実はそう簡単にいきません。

しかし、社員を材料に利益を生み出そうとすることについては、江戸時代の勘定奉行である神尾春央が言ったとされる「胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなり」と同じで、ある程度は会社の思惑通りに、社員を就業させることが可能になりますのでの、安易に利益を計算することができます。

店舗が人員不足で、現場の社員の負荷がどれだけ高まったとしても、社員を増やすことなく更に負荷を高めて業務をまわすことができれば、それだけより多くの利益を見込むことができます。
極論を言えば、一人の社員で24時間365日、店舗営業
ができれば、それが最善だと、もしかすると企業は考えているかもしれません。

俯瞰的にブラック化する未来を考える

つまり、牛丼業界の様に、コモディティ化の流れが激しい市場においては、今はよくても年々労働環境が悪化する可能性がある時限爆弾のようなものです。 4月からの消費税増税後に、更なる値引きをする牛丼チェーンを見ると、価格競争で顧客を取り込むこと以外に、有効な手を打てていないように思われます。

実際に、ここまで安価になった牛丼の材料費を、更なる大幅改善で原価を低減することは、かなり難しいと思われます。 そうなると、やはり労務費を更に切り詰める方向に進まざるをえないと思われますので、まだしばらくは、ブラック企業!と言われる日が続くのではないでしょうか。

単純に、飲食業界はブラックだ、牛丼チェーンのあの店はブラックだ、と考えるのではなく、なぜブラック企業化するのか、一歩引いて俯瞰的に見てみると、今はよくても将来ブラック化しそうな企業や業界が見えてくるかもしれません。 そういった視点で、自らの仕事の方向性を考えてみるのも面白いかもしれないです。

「報告・連絡・相談」のコツは上司から働きかけること

前回に引き続き、「報告・連絡・相談」のお悩みについてです。

部下からの報・連・相に不満がある。
例えば、必要な報告をあげない、マズい情報はギリギリまで相談がない、具体例をあげるとそれだけで小一時間は話が終わらないほどの事例を、さまざまな会社で管理職の方から聞かされます。

また、部下には口酸っぱく「報・連・相」が大事であると指導するにも拘らず、改善される気配がない。そんな状況がより一層、上司のストレスを溜める原因にもなってます。

ここで大事なことは、「報・連・相」それ自体が目的ではありません。
あくまでも、仕事を円滑に進めるため、仕事の進捗や方向性の確認するためなど、何かを判断する必要に迫られた時、手元に必要な情報が、必要な量と質で揃っている状態にしておくことが本来の目的です。

そんな、上司である管理職にとって仕事しやすい環境を作るためのヒントを、書いてみたいと思います。

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 上司が原因を作り出している?

なぜ、うちの会社の部下は「報・連・相」ができないのでしょうか?と相談を受ける際に、逆に当事者である部下の方にも、上司に報告・連絡・相談をする際のやり取りについて詳しく教えてもらうようにしています。

その際によく聞く話は、上司に報・連・相をすると、「自分で考えろ!」「いちいち聞くな!」「まだそんなことも分からないのか!」と部下が望んでいたことと、全く関係のない回答を返されるというものです。

部下が聞きたかったことは、そんな言葉ではなく、上司としての経験や知識を基にしたアドバイスなり指示です。 自分で解決できることであれば、わざわざ相談したりしません。

こんなことが数回続くと、部下は心の中で上司を「使えないヤツ!」として反発するか、「叱られると嫌だ」と萎縮するか、どちらにしても「報・連・相」は本来の趣旨から離れ、どんどんと悪循環に嵌ってしまいます。

大事なことは「報・連・相」が出来る環境を作ってあげること

上司からすれば、部下が自分で考えることもせずに安易に相談して済まそうとしている、何度も教えているのに同じようなことを質問してくるなど、いろいろ言いたいこともあるでしょう、また多忙な時間に、上司からするとレベルの低い報告などを受けると、ついつい語気が荒くなってしまう気持ちも分からないではありません。

ただ目的は「自分の手元に必要な情報が、必要な量と質で揃っている状態にしておく」ことで、「報・連・相」そのものではないはずですし、部下との人間関係を悪化させることでも、無論ないはずです。

具体的な改善策としては、上司が「報・連・相」の時間を定期的にスケジューリングした上で、部下が報告・連絡・相談ができる場を作ってあげることです。

このよい点は、上司としては報連相の時間を予め作ることで、忙しい時間に邪魔されることが基本なくなり、自らの時間を有効活用しやすくなります。 また時間があることで、部下の報連相から問題点を把握し、教育をする時間として活かすことも可能です。

部下としては、時間が決まっていることで、報告すべき事柄をまとめる準備や心構えができ、さまざまな相談をする機会にもできます。

そして、通常業務中に入る報連相は優先順位が高い案件であることが多いので、上司としては判断がしやすくなるというメリットもあります。

但し、ここで大切なことは、報連相の時間は仕組み化して、定期的に繰り返していくことで好循環を生み出すものであり、不定期に開催しても効果が薄くなります。

部下の「報告・連絡・相談」にお悩みの管理職の方はヒントにしてみられてはいかがですか。