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【第25回】人材採用に苦戦する中小・小規模企業が、上手に利用すべき助成金の仕組み(前編)

多くの中小企業が人材の採用に苦戦をしている昨今、自力の採用に苦戦をしているようであれば、まずは採用方法の選択肢を増やすことが大事になってきます。

その際に助成金や補助金が利用できる場合があることを、中小企業の経営者や人事担当者は理解をしておくべきです。 大企業であれば採用にヒト・モノ・カネを投下することもできますが、中小企業ではそうもいきません。 その際にハローワーク以外にも費用が必要ない人材採用の選択肢があることを知っておくと、採用する可能性を高めることが出来ます。

今日は、最近発表された『中小企業新戦力発掘プロジェクト』について、書いてみたいと思います。

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◆ 『中小企業新戦力発掘プロジェクト』を利用して採用の選択肢を増やす

経済産業省の外局である中小企業庁が、発表している人材対策事業の中に、中小企業新戦力発掘プロジェクトというものがあります。 このプロジェクトの概要については…

育児等で一度退職し、再就職を希望する主婦等(新戦力)に対し、職場経験のブランクを埋める機会を提供するため、中小企業・小規模事業者で実施する職場実習(いわゆるインターンシップ)を支援する。  (中小企業庁 人材対策事業 ホームページより抜粋

というものです。

全国を9つのエリアに分けて、各エリアにコーディネート機関(民間)を設けて、そこが中心的な役割として対応をするようです。 コーディネート機関の名前を見ていくと、各社が人材派遣事業ビジネスを行っている企業です。 (企業に研修生として派遣する形ですので、人材派遣の免許を持っていないと、やはりマズイのでしょう。)

仕組みとしては、費用がほぼ必要ない人材派遣だと考えると分かりやすいと思います。つまりインターンシップ・職場実習の名のもとで、派遣と同様の形態で、企業側は研修生の受け入れを行い、職場実習期間が終了したあとは、企業と研修生の双方が合意できれば、社員としての採用も出来るという仕組みです。

 

◆ 事務職の女性を採用する際には使える仕組み

中小企業側のメリットとしてはいくつか挙げることが出来ます。

1,費用がほとんど必要ない。職場実習という名目ですので、教育する時間は必要になりますがOJTに近い形で代替をとることが可能と思われます。
2,自社採用で苦戦していたとしても、コーディネート機関が動いてくれますので、紹介をされる可能性は高まります。
3,受け入れリスクが少ない。言い換えれば、職場実習の期間で人物の見極めをすることが可能であり、期間終了後に採用の”努力”義務はあっても、必ず採用する必要はない。

このような点から考えてみると、事務の負荷が高くなっておりサポート的な人材を必要としている場合など、言い換えれば、メインの社員の補助的な作業をする人材が必要だが、本格的な経験者の採用をする程ではない場合には利用しやすい仕組みだと考えられます。

また、国としても予算をつける以上、目標数値があります。 コーディネート機関も目標数値に対する達成率という結果が突きつけれられます。 この数値が目標に対して、あまりに乖離していると、翌年からの採択に影響することが考えられますので、コーディネート機関もかなり本腰を入れてくると思われますので、企業側としては、ある意味、よいサービスがほぼ無料で使えるという点もメリットです。

人材採用に苦戦している中小企業は、一度検討してみてはいかがですか?

 

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就職活動の面接で自己PRを上手にする方法

就職活動の面接で自己PRをする際に、非常に盛りすぎたPRや明らかに嘘っぽいPRを目にすることがあります。

PRをしている就活生としては、上手にできているつもりなのかもしれませんが、面接をしている立場からすれば、意外と簡単に嘘や話の盛り過ぎには気づくものなのです。 その理由は単純にリアリティ(真実性・迫真性)をPRから感じられないからです。私は行動力があります。私は忍耐力があります。私はリーダーシップがあります…

PRは単純に素晴らしいことを言えばいいというものではありません。いかに聞き手が納得できる様な説得力を持った話ができるのかという点が大切なのです。説得力を持った自己PRをするためには何が必要なのでしょうか。

本日は、そのことについて書いてみたいと思います。

 

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◆ マニュアルだけでは、リアリティが伝わらない

ナレッジ・マネジメントの第一人者である、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏の言葉に「ビジネスの現場はすべて個別一回性の事象であり、経営は決して理論通り、戦略通り、思惑通りには進まない」というものがあります。

この言葉と、面接の自己PRの間には何の関係もなさそうに思えますが、僕は自己PRについても、(それ以外のことについてもですが…)参考にすることが出来る、本質をついた言葉であると思っています。

この言葉を捉え直してみると分かりやすいのですが、自己PRについても、決して理論や戦略つまりマニュアル通りにいくものではなく、個別一回性の事象、すなわち現実に一人ひとりが経験した中にこそPRできるリアリティはある、と読み替えることが出来るのです。

面接の自己PRについては、多くのマニュアルでは、まず自分の強みを短い言葉で端的に言い表し、それからその説明を具体的にしなさいと書かれてますが、そのマニュアルをむやみに信じるのではなく、自分自身が具体的に経験した事象を元にして、自分の言葉で自己PRを作るべきなのです。大事なことは、話しをする順番ではなく内容そのものです。

このことを、さらに全く関係のなさそうな、ある映画を例に説明してみます。
著名な映画監督であるクエンティン・タランティーノ作品に『レザボア・ドッグス(Reservoir Dogs)』という映画があります。

この映画の中で、捜査官であるティム・ロスが、麻薬の売人に扮して犯罪者集団に潜り込み、内部から犯罪計画を探ろうとします。ただ単に何の裏付けもなく犯罪者集団に潜り込むと、疑われる危険性があり、疑われることを避け信用を得るために、麻薬の売り買い途中でトイレに行き、そこで危うく警察に捕まりそうになる話を作り上げ、その話を何度も練習し、さも実際に起きたことであるかの様に、犯罪者集団の中で話を聞かせることで、まわりの信頼を得るシーンがあります。

これについて、嘘を上手に話して信用を勝ち取れと言いたいのではありません。野中郁次郎氏の言葉にあるように、大事なポイントは細かい事象の中にあることを理解して欲しいのです。

どれだけの就活生がいたとしても、経験については一人づつ全く違います。その自分にしかない経験の中から、PRしたいことに関係する事象を、ひとつでもふたつでもいいので切り出して、それを色付けしてあげるのです。

自分をPRすることが大切な場面で、なぜワザワザまわりと同じようなPRをしなければならないのでしょうか。あなたの武器はあなたの経験の中にしかないのです。その点を踏まえて自己PRについても考えてほしいと思います。

面接官が面接をする際に注意すべき認知バイアスとは 【ハロー効果】

以前の記事で、面接を受ける際の就活生に覚えておいてほしい、認知バイアスの一種であるハロー効果について書きましたが、このことは面接を実際に行う面接官にもぜひ知っておいてほしいことですので、前回と逆の視点で書いてみたいと思います。

 

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◆ 有名大学を卒業した人は、人格的にも優れているのか?

ハロー効果というのは、ある人の判断を下す際に、その人の目立ちやすい特徴に意識が引きずられて、他の特徴について評価が歪んでしまうことをいいます。

例として面接時に、就活生が有名大学を好成績で卒業する予定であった場合、面接官であるあなたは、その人物の大学成績というポジティブな特徴に意識が引きずられてしまい、成績とは何の因果関係もない人格までも優れていると思い込んでしまう場合があります。

繰り返しになりますが、成績が優れていることと、人格的にも優れていることの間には何の関係性もありません。 成績が優れていてるがうえにプライドも高く、仕事をさせてみるとまわりの社員とは、まったく協調しようとせずに、部署で浮いてしまう様な例も多いものです。

同じような例で、大学4年間は体育会系で頑張っていましたという就活生がいたとすると、勝手に性格も明るいと思い込んでしまったり、逆に趣味がアニメであるというだけで、性格が陰鬱であるという勝手な判断を下してしまう、中高年の面接官も少なくありません。これも、目立ちやすい特徴に意識が引きずられてしまい、評価を歪ませている原因になるのです。

 

◆ 面接官としての、個人的な「好き嫌い」を排除する

やみくもに数集めとしての採用活動を行っているのでなければ、多くの企業は、自社の成長に必要と思われる人物を厳選して採用することが目的になります。 ここで大切なことは、「必要な人材>面接官の好み」ではないことは周知のことです。 ただ多くの場合、面接官は客観的に評価をしているつもりでも、実際にはハロー効果の影響を受けているがために、本来であれば採用すべきであった就活生を、採り損なうことにもなりかねません。

そこで面接官としてハロー効果に影響されない為の心構えは、まず自分の好き嫌いを排除するということです。 但し、このことを理解をしていたとしても、現実的にはバイアスをゼロにして評価することは、簡単なことではありません。

そこで就活生を評価する際に、個人的に好きなタイプの人材であれば2割は割り引いて考え、自分の嫌いなタイプの人材であれば2割は割り増すことです。 多くの場合は、面接は複数名で評価を下します。その際の評価シートに、面接官としての好き嫌いを記載する項目をつけ加えることで、評価を確定させる際の判断材料のひとつにハロー効果の影響を軽減させます。

なぜ、そこまでする必要があるのかと言えば、「自社には、同じ様な社員しかいない為に、新しいアイデアが生れてこない」と、多くの相談があるためです。 そこにはハロー効果の影響に引きずられ、評価が歪んでしまったことで採用する人材が画一的になったことも原因の一つに挙げられます。 どうしても面接官として、目立ちやすいポイントに意識が向いてしまい、そこを評価を下してしまいがちなのです。

社会環境が激変している時代だからこそ、自社の将来の為に必要となる就活生を採りこぼすことがないように注意したいものです。

 

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