就職活動でバランスよく企業選定をする方法


就職活動中の学生から「大手企業を中心に受けたのですが、選考を通過できずに苦労しており、どうしたらいいでしょうか。」といった質問が、この時期から徐々に増えてきます。

以前の「大企業の社員は本当に安泰なのか?」でも書いたのですが、大企業を中心に受けることが悪いという訳ではありません。 自分自身の学歴や能力に充分な自信を持っているのであれば、そういった選択肢もありでしょう。
しかし、一般的な学生が同じように行動をしてしまうと、リスク管理という観点からすれば、あまりにもリスクが高い割にリターンが見込めないということです。

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「未来の予測は難しいからこそ、リスクを分散させる」

「卵をひとつのかごに盛るな」(Don’t put all your eggs in one basket.)
イギリスの「卵をひとつのカゴに入れて運ぶと、落としたら全部が割れて台無しになる。」という意味の有名な諺です。 株式投資の世界でも、特定の商品に集中して投資するのではなく、複数の商品に投資をして、リスクを分散させた方がよい。という分散投資をすすめる意味で使われています。

諺で言われる卵であれば、万が一落として割ったとしても、家族から叱られたりご飯を食べ損ねるくらいの失敗で済むでしょうが、就職活動の失敗については、自分の人生を左右するきっかけになるかもしれません。

 

「2:6:2の割合を基本にする」

では、どうすればよいのか。
大企業を中心に行っている就職活動を分散投資のように、さまざまな企業へ分散させることです。

基本は「大企業2割:中小企業6割:ベンチャー2割(2:6:2)」を念頭においてエントリーする先を選定した方がよいでしょう。 100社エントリーするのであれば、大企業20社、中小企業60社、ベンチャー20社になります。

これは、あくまでも目安ですので、自分自身のキャリアに対する考えによって、大企業3割、中小企業5割、ベンチャー2割などに変更しても構いませんが、あまり大きく変更してしまうと本来の意味を失ってしまいますので、1割程度の増減にしておいた方がよいでしょう。

なぜ、この割合を薦めているのかというと、大手企業の採用は出身大学のランクや学部、その他さまざまな社外に情報が出ない要因が影響しています、大企業は巨大だからこそ膨大な数の利害関係者が存在しており、そのためにどうしても狭き門なるのです。
平均的な倍率が数百倍になる大企業というカゴに、自分が持つ全ての卵を盛るのは、あまりにもリスクが高すぎます。そういった意味でも2割程度に抑えておく方がよいでしょう。

またベンチャー企業を2割程度、受けておいたほうがよいというのは、社会の時流に乗ることができれば、ベンチャーは大きく飛躍する可能性を秘めています。
誰もが知っているgoogleの社歴はまだ20年になりません。韓国のMHNが運営を始めたLINEは3年で、現在の規模まで成長しました。そのような急速な飛躍をする経験できるチャンスは、大企業ではほぼありません。しかし、ベンチャーの大部分は失敗する可能性が高いことも理解しておいて下さい。

そして中小企業を6割としましたが、日本の企業数の99.7%は中小企業です。大手では損益的に手が出せないニッチな事業など、独自の魅力を持った企業や、ベンチャーと同じくこれから成長が期待できるが、まだまだ世間には知られていない、そんな中小企業も数多く存在しています。大企業にはない魅力に溢れているのも中小企業の特徴です。

 

「幅広く就活をすることの意味」

そして、大企業からベンチャーまで受けることには、いくつかのメリットがあります。
まずは、大企業よりも採用倍率が低いために、エントリーから面接に進みやすいという点です。エントリーするだけでは企業とのやり取りに人的な要素は殆ど入ってきません。面接のコツはあらためて書く予定ですが、場数を踏むことで慣れていくものでもあります。
1社しか面接に進んだ企業がない就活生と、10社面接に進んだ企業がある就活生では、面接に対するプレッシャーひとつをとっても大きな違いがあります。

また大きな意味として、世の中に対する視野を広く持つ一つのきっかけになると考えます。

現代の就職活動は、どうしても画一的なマニュアルや指導によって、このようにしなければならない、と無意識のうちに方向づけられている学生がほとんどです。しかし世の中はマニュアル通りに動いている訳ではありません。
実際に大企業からベンチャーまで就活する経験からネットの情報だけでは判らない、さまざまな見聞をし、自分の肌で実際に感じてみる機会を作ることが出来るのも就職活動のメリットなのです。

その上で、やはり大企業を目指しそこで働くこともよいのでしょう、逆にベンチャーに魅力を感じ、そこに飛び込む結果になるかもしれません。それは本人が悔いなき選択ができれば、それでいいと僕は個人的には思います。
ただ、あえて大企業のみを受けるという、選択する機会を自ら捨てる行為とリスクを負うことは、悔いを残すことにもなりますので、気をつけた方がよいということを就職活動をしている学生の方達には知っておいてほしいのです。

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