大学生の就職活動は、そろそろ面接も始まり出したことで、本格的に就職活動をしている実感が湧いてきた生徒さんも多いことでしょう。
志望動機や、学生時代の取組みなどの質疑応答については、事前のロールプレイング研修などで、バッチリ準備をしている方が多いので、立て板に水とばかりにスラスラと模範的な答えが返ってきます。
しかし、最後に聞かれることが多い「何か質問はございませんか」になると、いきなり準備不足が露呈してしまう人が多くなります。 せっかく良い雰囲気のなかで面接をすすめることができていたにも拘わらず、最後の質問を失敗したがために不採用では目も当てられません。
”画竜点睛を欠く”にならない為にも、最後に質問をする際の注意事項と心構えについて、本日は書いてみたいと思います。
「ダメな質問が命取りになる」
面接に同席する際に、よく目にするダメな質問をいくつか挙げてみます。
まずは、「御社の年齢構成はどのようになっていますか?」というものがあります。
これについては年齢層を確認することで、仕事をすすめる際の人間関係を考慮していると、考えれないことはないのですが、面接官の立場からすると、就活生の意図がどこにあるのか読めない場合も多いのです。
例えば、同年代が少なければ離職率が高いと考えるつもりかもしれない、中高年層が多ければ仕事し難いと考えるつもりかもしれない、といった具合に要らぬ疑念を抱いてしまう質問の一つです。
質問の意図が明確ではない、何を考えているのか分からない、であれば後々問題になるよりも、この場で不採用にしてしまおう、という結果にまで結びつく場合もあります。
ついでに上場企業であれば、会社四季報などを見ることで、平均年齢などの記載がありますので、そこまで調べてないという、マイナスを要素をアピールしているだけだったりもします。
また、「職場の雰囲気はどういった感じですか?」という質問もよく聞くのですが、面接官からすれば返答し難い質問のひとつです。
雰囲気というものは、どうしても主観的な感じ方であり、特に数値化して表わすことができるものでもありません。 また部署によって雰囲気がガラッと違う場合も多々あります。 そして面接官という立場として就活生に「当社の雰囲気は悪いです」とは、どれだけ思っていてたとしても話せる内容ではありません。 そうすると結局、「雰囲気はいいですよ」と、お茶を濁すような返答しか返せないのです。
これらの質問は、面接マニュアルでは普通に推薦されてますが、現場を見ている僕の個人的な意見としては、あまりお勧めできません。 概してダメな質問というのは、それを聞く就活生の意図が、面接官としては判らず話が続かないというものです。
質問を促すということは、コミュニケーションの一環であり、そこから話が膨らむようなものでなければなりません。 コミュニケーションは言葉のキャッチボールと言われますが、相手が受け捕りやすく、こちらに投げ返す動作がしやすいところに、質問というボールを投げてあげることが大事なのです。
そういった点から見てみると、組織の年齢層がどのようになっているのか、職場の雰囲気はどうなのか、といった質問は、捕り難く、投げ返し難いボールと言わざるを得ません。
「質問を促されている意味を理解する」
面接官が質問を促すということの根本的な意味合いは、そこから就活生の採否を判断する材料を更に得たいという企業側の想いの表れです。 その時に、面接マニュアルにある、なんど同じ返答をしたか判らない質問を聞かされる面接官の心中はいかがなものでしょうか。 面接官も会社を代表しての仕事なので、聞かれた質問には丁寧には返事しますが、それ以上ではありません。
僕は、採用面接に同席した際に、同じ内容の質問が3人続いた場面に遭遇したことがあります。 その出来事は数年経った今でも、その時の面接官との笑い話のネタになっていますが、当の質問をしてきた就活生についての記憶は残っていません。 それどころか質問の内容も、ありきたりな質問だったよな…程度の記憶なのです。
「どのような質問と準備をしておくべきなのか」
では、どのような質問が正解なのかと問われると、正直これを質問すれば100%大丈夫、そんな答えはこの世の中に存在しないとしか言いようがありません。 偉そうなことを言って答えがないのかと、叱られるかもしれませんが、そんな万能の正解があると短絡的に考えていること自体が間違いです。
ただ、そういってしまうと身も蓋もありませんので、こうした方がよいというアドバイスをお伝えします。
それは、面接を受ける前に志望動機や大学生活で取り組んだことが、スラスラ淀みなく言えるように繰り返し練習を皆さんするでしょう。 それと同じように、質問を促された時の準備も万全にしておくという事です。
面接前には再度ホームページや業界誌などを見て、企業の情報をインプットすると思いますが、その際に「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」という視点を持って、情報を見ていくことです。 するとそれまでスルーしていた点が必ず見えてきます。
例えば、企業の業績が一時低迷したあとに復活を遂げたという事例があったとすれば、低迷した時に会社内では、どのようにしてその逆境を跳ね返すきっかけを得たのですかといった質問や、業績が低迷した時には、社内の雰囲気が悪くなったかもしれませんが、どのようにして社員の皆さんは一致団結することができたのですかといった質問も考えられます。
ここで大切なことは、自らが本当に疑問に思った質問を準備しておくことが大事なのです。 仕事をすすめる上で、段取り八分という言葉がありますがこれと同じで、前もってどれだけ考えて質問を準備できたかが、面接の場面に表れるだけなのです。 そんな質問を最低3つくらいは考えた上で、その場の雰囲気に応じて使い分けれるようにしておくことが秘訣です。
それでも、質問が思いつかないといった方は、業績・歴史・製品など、企業のどこか一部分に注目して考えていくことをお薦めします。
面接官も会社の代表として候補者と対応してますが、その前に一人の人間です。 予定調和のありきたりの質問が聞きたい訳ではなく、言葉足らずでも不恰好でも、就活生が自分で悩んだことが伝わる質問の方が嬉しいものですし、真剣さも伝わります。
そして結果としては、その方がありきたりの質問者よりも、好い印象になることが多いものなのです。