月別アーカイブ: 2014年4月

就活生が知っておくべき大企業信仰の注意点

求職活動をしている就活生と接していると、その多くが「大企業」「安定」を希望している姿を目にします。 正直、求人倍率が数百倍になる大手企業ばかりを受け、不採用通知に心が削られている姿を見ると、なぜそんなにしてまで大企業に入りたいと思うのか、質問したくなってしまいます。

別に、大企業の正社員を目指すことがダメだというつもりは、全くありません。
この企業で働くことが小さいことからの夢であった、自分のやりたい仕事ができる環境は、この企業にしかない。 そういった理由から志望している就活生には、ぜひ頑張って夢を叶えてほしいものです。

ただ、先が見えない社会に踏み出す不安にかられ、寄らば大樹の陰とばかりに大手企業を選んでいる人たちは、その選択で本当に間違いないのでしょうか。

「大企業の正社員」の職に就くことを目的とし、それが結果的に安定した仕事・人生を送れると短絡的に考えることは、就職活動をするうえでというよりも、自分自身のこれからの人生やキャリアを築いていく上で、落とし穴が潜んでいる場合もあります。

確かに大手企業の賃金や福利厚生は、中小企業と比較すると大きな魅力です。
しかし、この恵まれた環境が、はたして自分が定年を迎えるまで、今後40年続くのかと問われると、正直答えに窮するのではないでしょうか。
それどころか本当は10年先を予測することすらも簡単ではないのです。 だからこそ、大手企業偏重の就活については、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

 

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「就職人気ランキングの常連企業がいまや……」

ひとつの例を挙げてみますと、1998年から2002年まで、大卒の文系・理系ともに就職人気企業ランキングのトップは、ソニーでした。

当時の就活生に、「10数年後、ソニーは業績悪化で、テレビ事業は分社化し、パソコン事業は投資ファンドに売却、そしてリストラによる人員削減を数千人単位でしてます。」とでも言おうものなら、たぶん頭がおかしいと思われたことでしょう。

当時のソニーは、テレビでは平面ブラウン管の、vega(ベガ)が大ヒットを飛ばし、パソコンではvaio(バイオ)のブランドが浸透し始めた時期です。 事実が否かは分かりませんが、スティーブ・ジョブズが、vaioにmac OSを載せる為にソニーにアプローチをしてたとの情報もある、そんな勢いのある時代です。

1990年代から2000年代中盤も、就職氷河期と呼ばれ失われた20年のまっただ中、新卒者の求職活動についても厳しかった時代です。 当時も安定を求めていた就活生は多く、ソニーに入社すれば、「大企業・正社員=安定した仕事・人生」という考えは、皆が心のどこかに持っていたことでしょう。

ただ当時であれば、頭がおかしいと思われるようなソニーが苦境に陥るという意見も、2014年現在では、紛れもない事実になってしまいました。 そして当時ソニーに入社した新卒者は、自分が30代後半から40代になった時、こんなに厳しい環境におかれることになると果たして想像できたでしょうか。 たぶんいないと思われます。

 

「人生設計が大きく狂ってしまうリスク」

ここからはソニーの例ではありませんが、僕は仕事柄、リストラによる人員削減を断行している大手企業の現場を目にすることがあります。 メディアで取り上げられるようなリストラの光景は、全体のほんの一部分です。 ニュースで数千人規模のリストラによる人員削減の話題が取り上げられますが、その数千人の陰には、配偶者があり、子どもがあり、それぞれの人生があります。

家族ができ住まいをローンで購入し、その直後を見計らったかのように遠方へ転勤の辞令、国内ならまだしも海外への辞令もあります。ローンや家族を抱えて辞めれない社員は単身赴任し、年に数回、家族が待つ家に帰る。 転勤ならまだマシで早期退職の勧奨。早期退職し割増退職金をもらったものの次の仕事が見つからない、そんな方が日本中に何千、何万人もいらっしゃいます。

このように、どれだけ大手の企業であっても、どれだけ就職人気ランキングの常連であっても、未来には、予想もしない事態が待ち受け、そのことが自分自身の人生に多大な影響をあたえる可能性はあるのです。

繰り返しになりますが、大企業を志望するなということを言いたいのではなく、どれほどの大企業であっても、自分の身を一生守ってくれる安定を無条件に与えてくれるものではない。ということを理解しておくべきです。

あくまでも「大企業・正社員 ≠ 安定した仕事・人生」であるという意識を持ち、それでも大企業を中心に就活するのか、他にも目を向けてみるのか、自分自身の人生や仕事のキャリアをどのように築いていくべきなのか、答えは自分でしか出せません。

大手企業の求人倍率が約0.5倍、300人以下の企業の求人倍率は3.2倍の社会環境下で、新卒というある意味中途採用にはない強い立場を手にしている、そんな就活生だからこそ知っておいてほしいと思うのです。

ブラック企業の情報に踊らされないための上手な方法

巷にブラック企業という言葉が定着してけっこうな時間が経ちます。

おかげさまで最近、就職活動中の学生からは「ブラック企業の見分け方を教えてほしい」「受ける企業がブラックかどうか判断してほしい」「知っているホワイト企業を教えてほしい」など、ブラック、ブラック……と、毎日のように聞かされています。

今回は、就職活動中の新卒予定者に、ブラック企業の定義を自分自身で決めることについて、労働基準法の総則を基にして書いてみますので、ひとつの参考にしてほしい思います。

労働基準法、名前だけは聞いたことがある人も多いと思うのですが、1日の労働時間は8時間が基本で、その場合には休憩は60分以上とらせること、他にも賃金の支払いについての原則など、労働者と働かせる立場である使用者が遵守すべき様々な規定が書かれてます。

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「労働基準法 第一条 総則 第一項から定義を考えてみる」

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければならない。
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
「労働基準法 第一条 総則 第一項・第二項」

この総則にある言葉の中で、僕が大切であると考えるのは「人たるに値する生活を営むための必要を満たすもの」ここが最大のポイントで、自分の人生において、日々の生活について、それぞれの人が理想型を持っていることでしょう。

例えば、所定休日ひとつをとっても、必ず週末の土・日が休日であれば、平日はどれだけ残業をしても気にならない、そんな人もいらっしゃるでしょう、土日に仕事をすることも気にしないが一日の勤務時間が8時間しか働きたくはない、そんな人もいらっしゃることでしょう。

労働基準法では、そのような個別の事案ごとに、一つ一つを法令として書き記すことは不可能ですので、全体的な基準として昭和22年に制定されました。

ただ昭和22年に法律が制定された当時は、現代のように労働環境が多様化することは想像していなかったと思われます。24時間オープンしている店舗が当たり前にあるような社会が訪れることは、確実に想定外だったことでしょう。

そのような社会環境下で、労働時間や賃金など種々の労働条件について、これが絶対の正解であり、これは絶対の不正解である。そんなことは、他人が外野からとやかく言って白黒をつけれるものではありません。大事なことは自分自身が、仕事をする上で絶対に守りたい労働条件の定義をしっかりと考えて持っておくことです。

ただ、労働条件は労働者が一方的に決めれることでもありません。いくら自分が一日8時間しか仕事したくない、と言ったところで、使用者である会社が法的に認められる範囲の残業を指示してくれば、断ることは不可能です。
しかし、それが自分の持つ理想型であり絶対に譲歩できないと考えるのであれば、本人にとってはブラックな就業環境だと考える原因になりかねません。

そして、自らが定義を持つことの本質は、見た目の労働条件に左右されない、自分自身の仕事に対する信念を持つことです。ブラック企業に関する質問をしてくる人たちの多くは、自分がどのような環境や条件で仕事をしたいと思っているのか明確ではなく、労働条件において譲歩できることと絶対に守りたい信念が、ハッキリしていないように見受けられます。

ブラックな就業環境か否かを判断するうえで大切なことは、まわりの判断や意見に惑わされることではなく、自分自身の人生における仕事という要素を、どの様に規定して自主的に構築していくのか、そこが一番大切なことです。

そのような視点を持って、仕事選びを考えてみることも悔いのない仕事をする上で大事なことです。

中小企業がSNSを無理にしない方がよい理由

数年前、TwitterやFacebookが流行した際に、大手企業だけではなく、多くの中小企業が自社のFacebookページやTwitterアカウントなどを取得しSNSで情報発信を始めました。

当時はSNSをビジネスに導入することのメリットを、乗り遅れるなとばかりに多くのメディアや媒体が紹介し、また基本的に費用も必要ないということで、SNSをすると、何か自社にメリットがありそうだ…くらいの低レベルな意識しか持っていない上層部の鶴の一声で、片手間の担当者が専任され業務命令で仕方なく始めました、というような事例がそこかしこにあったものです。

しかし、あのブームから数年経った2014年4月現在、多くの中小企業のSNSが更新されるでも、閉鎖されるでもなく、なんとなく放置中になっています。

そして思い出されたように、新年のご挨拶や、ゴールデンウィークの休業のお知らせなど、SNSである必要があるのかないのか分からない程度にしか活用されてなかったりする状況です。

正直、薄い情報発信しかできないなら、サッサと止めるべきですし、担当者も早く止めたいと思ってるはずですよと、僕は中小企業の経営者層には話をしています。

このSNSを放置する行為が、自社の社員採用を苦戦させている一因になっていることにまず気づき、気づいたら続けるのか閉鎖するか、すぐに判断を下しましょう。

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なぜSNSを放置してはいけないのか?

多くの求職者は、応募する企業を選ぶ際にホームページなどネット媒体で、まずその会社をチェックします。その際に放置されてる企業のSNSを見ると、この企業ダメだな……と、その時点で選考から外すものです。

SNSを放置しているという行為が、なぜ求職者離れを引き起こすのか。

そこには、SNSを自社のビジネス発展のために取り組んだのではなく、まわりがやっているからというだけで、自らの頭で考えることもなしにブームに乗って始めた、そんな行き当たりばったりの企業体質や、企業の方針などの残骸としての姿が透けて見えます。

求職者の立場に立てば、このSNSを放置しているというだけで、この会社の成長は期待できないと判断を下すに充分すぎる状況であることに早く気づくべきです。

そして、放置しているだけであり、すぐに活用する事ができないと判断がでたのであれば、閉鎖してしまいましょう。自社の利益に繋がる導線の中に、SNSを活用できると判断できる時が来れば、また再開すればよいのです。

自社のSNSが、利益でなく不利益をもたらしていませんか?